アメリカでは、「16歳で自立させる」という伝統的な子育ての考え方があります。
「Sweet 16 (sixteen)」と、16歳の誕生日を大きくお祝いするのです。
この考え方は、中学校での指導の中に生きています。
具体的には、担任の先生が終日面倒を見て指導してくれる小学校での生活と異なり、「自分自身で行動をコントロールして、自立する環境」に投げ込まれます。
1.教科ごとに移動する学校生活。
異なる教室と自分のロッカーの間を1日に何度と行き来する生活です。アメリカの中学校の広いキャンパスを、あの重たい教科書を全て抱えて移動するのは不可能です。そこで生徒一人ひとりにロッカーが用意されますが、数分の休み時間に、教室からロッカー、さらに別の教室へと、遅刻しないで移動するのは大変です。その大変さは、毎年秋に開かれる「オープンハウス」でご両親も経験できます。
2、中学校での教科担任制への移行。
小学校の学級担任の先生は1クラス30名程度の子どもを終日指導していますので、勉強だけではなく子どもの行動や人間関係の指導を受けることが出来ました。しかし、中学校の数学の先生は、多分1日で4クラス、人数にすると100人以上の中学生を指導します。学習内容をしっかり教えるプロが中学校の先生です。成績や授業中の行動に問題がない限り、生徒の個人的トラブルに干渉する時間もありません。
3、カウンセラー制の導入
自立するためのトレーニングに曝されているこの時期は、思春期とも重なり、中学生一人ひとりが様々な問題を抱えます。ほとんどの中学校では、個々の生徒の出席・欠席・遅刻・早退を厳しく監視しています。「生活の乱れをトラブルのサイン」と見て、指導するためです。その指導はカウンセラーが担当するのが一般的です。学校生活よりも、生徒の学習についてアドバイスを主に担当する学校常駐のアカデミック・カウンセラーに加えて、学校区から定期的に心理カウンセラーが派遣されて、問題行動の多い生徒の指導に当たります。
こんなシステムを通じて、「自立させるため」のトレーニングに曝されているのが中学生です。「勉強よりも自立させることが大切」と考えているように思えます。
「アメリカの中学校の勉強は簡単ね」との言葉をお母さんからよく聞きます。しかし、「過保護」に育てられている日本の子どもが、いきなり、訳も分からずに「自立」のトレーニングに遭遇したら・・・。
中学生のお子さんに、学校での生活についてゆっくり話を聞いてあげてください。
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