2009年1月15日木曜日

Q19: 母国語?母語?


 広辞苑によると、
 母  語: 幼児に母親などから自然な状態で習得する言語。第1言語。
 母国語: 母国の言葉。
 ついでに、
 母  国: ➀ 分かれ出た国から、元の国をいう称。
       ➁ 自分の生まれた国。祖国。

 A君は 日本で生まれ育ったご両親から、アメリカで生まれ、ずっとアメリカで生活しています。日本とアメリカの両方の国籍を持っています。赤ちゃんの時から日本語で育てられました。家庭内では全て日本語ですが、学校では全て英語で学んでいます。
 さて、A君の、母国は? 母国語は?

 実は、A君が日本の大学の帰国子女入試を受験したいと言うので、小論文の指導をしたとき、「母国」「母国語」のディスカッションをしました。
 「僕にとっては、日本とアメリカの両方が母国。『母国語』という言葉は『国』の意識が強く、どちらかを選ばなければならない、という感じがするので、使いたくない。」との彼の気持ちを尊重して、私も「母語」を使い始めました。

 アメリカに住む日本人の子ども達は、二つの国を行き来して育てられ、そのハザマで彼ら独特の国際感覚を身につけています。大人が「国」や「言語」の違いで縛りつけても、共感は得られません。「国」の意識をはずし、お母さんの暖かさの感じられる「母語」という言葉を、彼らは素直に受け取ってくれます。

 そんな経験から、広辞苑の定義どおりの意味で「母語」という言葉を、私は使っています。
 皆さんは、どちらがしっくりきますか? 一度、お子さんに聞いてみてください。お子さんの何かを発見するかもわかりません。
  

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