今回は、「公立の受験進学校」を、帰国生の立場から見てみます。
公立高校
近年、東京都の「進学指導重点校」のように、公立の高校の進学実績を上げる動きが他の都道府県にも広がってきています。私立の受験進学校に後れを取った、公立高校の反撃です。
3年間で難関大学に合格させるためには、入試向けの学力の高い生徒を取り、ものすごく集中した指導が必要です。そのため、早朝・放課後・週末・休暇中などに補習授業が実施されます。部活などの時間はほとんど取れないのが,現実です。
このタイプの学校を希望する帰国生は、特別入試ではなく、国内生と同じ入試を受けさせられるのが普通です。そのためには、海外だけではなく、帰国後の適応しながらの受験勉強が大変になってきます。
現実的には、このタイプの学校に入学している帰国生は、海外の日本人学校で学んだか、現地校で学んだあとに日本の中学に編入し、しばらく在籍した人が多いと思われます。
公立中等教育学校
私立に対抗して、公立の6年一貫教育のための中等教育学校が、日本全国で増えてきました。
中等校は、ただ単に中学と高校を一体化したのではなく、6年間を生かした特長のある教育を目指しています。そのため、入試(私立の中学入試に相当)では、筆記検査だけではなく、出願時の様々な資料の提出、作文・小論文や面接の実施で、総合的に合否を判定します。そして、本音では、6年一貫教育をとおして,受験の学力もつけ、立派な大学進学実績を上げる学校を目指しています。
「総合評価」を活用し、「進学実績」を目指すと、英語力・海外体験・現地校で学んだスキルなどを期待して、帰国生に注目が集まります。中には、「国際中等教育学校」として、帰国生や外国人のための入学定員枠を設けている学校もあります。そのため、帰国生に取っては受験しやすく、入学後も未学習内容の勉強や適応に十分時間が取れる、良い学校だと思われます。
しかし、中等校はまだ卒業生もなく、最終的な進学実績を示せていないせいでしょうか、帰国生の人気はもう一つのようです。たとえば、東京都立立川中等教育学校の今年の入試では、国内生の合格倍率約10倍に対して、帰国生は2.5倍と低調でした。
今後の動向に注目しましょう。
お子さんは、受験文化に耐えられますか?
公立・私立を問わず、受験進学校への進学を考えるとき、一般入試を受験して日本の大学に進学するための勉強や指導のカルチャーは、海外・帰国生には体験のないものです。ご自分のお子さんが、そのカルチャーの中でサバいぶしていけるのかどうか、しっかり判断することが大切です。(念のために!)
次回は、「新しい受入校」です。
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